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感染症対策クリオスタットの考え方

番場亮(株、ファインテック)


 ライカマイクロシステム社製CM1900クリオスタットは感染症防止対策として液状の殺菌剤を噴霧し、細菌やウイルスを殺菌または不活性化すること。かつ、安全に作業できることで怪我を未然に防止することを主目的として開発されました
クリオスタットで生検体を扱う場合は、組織内に感染性物質が含まれている可能性があるため、充分に注意して作業を行わなければなりません。言うまでもなく、感染防止の方法としては感染ルートを絶つか、殺菌または不活性化するしかありません。CM1900には感染防止対策として殺菌ができる環境作りが施されております。ところで、クリオスタットのチャンバー内を殺菌する場合、いくつかの問題点がありました。
1、殺菌剤の多くは水分が含まれているため、0℃以下の温度では凍ってしまったり、殺菌効果が少なくなってしまうこと。
2、アルコール系殺菌剤を使用してミクロトームに噴霧すると、駆動部に使用しているグリースが溶け出し、故障の原因になること。 これらの問題を解決するために、CM1900ではチャンバー内のミクロトームを密封するという方法を採用しました。こうすることにより、アルコール系殺菌剤を使用した場合でも精密な動作をする部分には噴霧されず、チャンバー内の温度を0℃付近まで上げてもミクロトームが結露することを遅らせることができます。
また、作業中の怪我による感染を避けるために、チャンバー内を作業がし易い広さにし、とくにナイフホルダー周辺をシンプルで突起を少なくしたことで安全性を高めました。
従いまして、ライカ及びファインテックが推奨いたします感染防止対策は作業中の感染防護を行った上で、作業終了後に低温でも殺菌効果のある殺菌剤(クライオフェクト)を噴霧してチャンバー内に残留する切片屑内の感染性物質を殺菌することであります。


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