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病理検査室現場におけるクリオスタットのバイオセフティ

河原 元(東京大学医学部附属病院 病理部)


1、バイオハザード面からみた病理検査室という場所
東大病院は特定機能病院として、ありとあらゆる感染症例がやってきます。病理検査のために採取された検体には種々雑多な病原性物質が含まれており、ホルマリン固定されない生検体が届くことが多々あります。そこに含まれる感染性病原物質から作業者を防御し、安全な環境を保持できるかが課題であります。
2、クリオスタットの利用範囲
凍結標本作製装置は検体を化学処理せず、生の組織標本が作製できるという利点から、種々の方面で活用されており、今後も利用範囲は拡大することが予測されます。現在、凍結標本作製装置で最も普及しているものがクリオスタットであります。これは作製作業が非常に簡易で短時間に処理することができるところから、病理検査室では術中迅速組織診断に汎用されております。この場合、作業者は生検体を処理することで滅菌されない感染性物質と対峙することになります。東大病院における「術中迅速組織診断件数と含有感染症の種類・件数・含有率」を調査し、含有率が非常に高いという事実が判明しました。
3、クリオスタットの作業環境
バイオハザード対策の三要素として情報、環境、作業者を考えます。環境面で東大病院病理部は非常に古い建物の中にあり、対策がとられておりません。かろうじてクリオスタットを切り出し室に設置したことで区画された環境を作りました。
4、クリオスタットの機種選定基準
東大病院病理部でクリオスタットのバイオセフティにつき、機種選定基準を作ってみなした。ディーラー側からクリオスタットの国内、海外安全基準が提示されると思われますが、ユーザーとして完璧な機種がありません。
5、現在行き着いたところ
クリオスタット内は感染性物質が充満し、非常に不潔な場所であるから、作業者は怪我をしないように充分注意することです。しかし、所詮、弥縫策でしかありません。バイオセフティに充分配慮した製品の供給をメーカーにお願いします。


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