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蘇芳を用いたアルミニウム染色の検討

宮川 誠1) 安藤 博文1) 大門 建夫2)

帝京大学医学部中央動物室1)
帝京大学医学部解剖学教室2)


要旨
我々は組織切片レベルで金属元素の分布や局在を検索できる染色法の検討や開発を行っているが、BRZILINを主成分とする蘇芳(すおう)がアルミニウム染色に使用可能であることが判明したので報告する。蘇芳はマメ科の低木であって、その幹の心材からの抽出液を繊維の染色に使用する。もっとも古くから使用されている染料の一つであるが、染色の方法によってかなり広範囲の色調を与えることが特徴とされている。今回、ラットにアルミニウムや鉄を投与した動物モデルを作成し、蘇芳によるアルミニウム染色の検討を行った。
乾燥された繊維染色用の蘇芳を煮出し、色素を抽出、濾過して染色液とした。陽性部位は、アルミニウムが赤色に、鉄が紫色に反応した。色相変化により金属を選択標識することが可能である。ヘマトキシリン・レーキ法やアルミノン法と比較しても遜色なく容易に判別できる。アルミニウムと鉄に関しては、陽性色の違いからむしろ観察に適していると考えられる。アルミニウムの組織内の動態を観察する染色法として蘇芳を用いた本法は有効である。


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