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検査センターでのHer2/neu検査

株式会社エスアールエル

名取恒夫


Her2/neuタンパク半定量検査であるハーセプテストは,新しいタイプの抗がん剤ハーセプチンの適切な投与および治療効果の向上,あるいは無用な副作用を回避するために,本邦では平成13年3月に体外診断薬として承認され,6月には保険適応も認められた.本検査は乳がん組織でのHer2/neuタンパクの過剰発現を免疫組織化学的手法にて半定量的に評価することが可能である反面,適切な評価のために免疫染色方法と判定方法の標準化が強調されてきた.Her2/neuタンパクは過去にはc-erbB2タンパクとして知られ,本邦でも乳がん組織について多くの報告がなされているが,標準化された手法による大規模な臨床試験は行われていない.
弊社では平成13年3月より受託を開始し,12月末現在で4,551件について検査を実施した.今回,それらの成績についてまとめ,すでに報告されている知見と比較し,評価を試みたので報告する.
今回報告に供した症例は臨床材料とし,固定条件などが不適切であることが明白な症例は除外した.免疫組織染色方法は試薬メーカーの指定方法とし,自動免疫染色装置を用いた.判定方法は試薬メーカーの研修を受けた技師および病理医が担当した.染色毎に作製される陽性コントロール標本とを比較しながら判定を行った.
判定は組織型も含め,すべてダブルチェックとした.乳がん組織でHer2/neuタンパクの発現がスコアー2+以上であった症例は,約30%であった.組織型による差は浸潤性乳管がんでは認められなかったが,特殊型では差が見られた
原発巣と転移巣では,転移巣で僅かに低い傾向が見られた.FISH法との比較ではスコアー2+以上の症例ではほぼ一致したが,スコアー1+,0でもFISH法が陽性の症例が見られた.今回の成績は既存の報告とほぼ一致していたが,異なる点も認められた.更に多くの症例を詳細に解析し,施設間差などについてもまとめたいと考えている.


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