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体細胞モザイク‐遺伝子変異細胞による組織再構築

垣内伸之

京都大学白眉センター


 私たちの身体は約40兆個の細胞から構成されている.これらの細胞の設計図はDNAの配列として細胞核のなかに記録されており,生涯を通じて細胞分裂の度に正確にコピーされ娘細胞へと受け継がれる.近年のゲノム解析技術の飛躍的な発展により,たとえ正常な細胞であっても,細胞分裂の度に少数の遺伝子変異が蓄積することがわかってきた.体内で細胞どうしは互いに増殖速度を競い合う関係にあり,遺伝子変異によって創出される多様な細胞の中で,しばしば,特定の遺伝子変異を獲得した細胞が周囲の細胞よりも速く増殖し,経時的にクローン拡大する.最近,一見すると正常な組織においても,がんのドライバー変異を有するクローンが拡大していることがわかってきた.この現象は体細胞モザイクと呼ばれ,加齢や環境因子への曝露によって,正常組織は遺伝子変異クローンによって再構築され,その一部はがんの起源となると考えられる.従来考えられてきた,ライフサイクルを通じて遺伝情報は不変であるという概念を覆す,体細胞モザイクについて最新の知見を紹介する.


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