中村 博
順天堂大学医学部附属浦安病院 病理診断科
【はじめに】
第111回日本病理組織技術学会では精度管理事業としてEVG染色をテーマにした。 EVG染色は弾性線維と膠原線維を染め分けが可能なことから血管系の種類の同定、血管系病変の認識、癌細胞の脈管侵襲の有無の同定に必要不可欠な染色法である。今回はEVG染色の標準化、精度向上を目的として47施設のご協力を頂き現状を調査した。
【方法】
今回の精度管理では10%緩衝ホルマリン溶液で固定して作製したブタ肝臓のパラフィンブロックを配布し、 各施設で行っているEVG染色を実施していただき、同時に自施設で使用している試薬、試薬の処方、染色手順に関するアンケート調査を返信していただいた。
【評価】
①核の染色性 ②弾性線維の染色性 ③膠原線維の染色性 ④細胞質、 筋線維、 赤血球の染色性についての4項目を3段階(3:良好、2:軽度の濃染あるいは淡染、1:高度の濃染あるいは淡染)で評価を行い、その他に染色に関連したアーチファクトを減点方式にて評価を行い、総合評価は優:12点、良:11~9点、可:8~7点、不可:6点以下とした。
【結果】
総合評価は優:7施設、良:36施設、可:4施設であった。用手法で染色している施設は44施設(94%)自動染色機で染色している施設は3施設(6%)であった。レゾルシンフクシン液は全施設が市販品を使用していた。ヘマトキシリン液は自家調整が22施設(47%)、市販品23施設(49%)未記載2施設であった。ワンギーソン液は自家調整21施設(45%)、市販品22施設(47%)、半自家調整3施設(6%)、未記載1施設(2%)であった。
【まとめ】
多くの施設が優、良の評価で良好な結果であった。可の4施設は各染色工程後の分別操作の不足が考えられるため、分別操作を適切に行うことで改善が見込まれる。