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免疫組織化学の評価と最新のupdate

伊藤智雄

神戸大学医学部附属病院 病理診断科


 免疫染色は現在では欠かすことのできない重要技術であり、その精度管理は十分に行わねばならない。不良染色や解釈の誤りは、病理医を本来あらぬ診断へと誤誘導し、極めて危険である。正確な免疫染色のためには、各病理施設は病理医と技師の間で十分なコミュニケーションを取り、日常的に精度管理を行わなければならない。両者とも十分な知識・認識を持ち、染色・解釈の技量を高める必要がある。
 自動免疫染色装置を使用していたとしても同様であり、機器には常にエラーが付きまとうことを認識すべきである。精度管理にはいわゆるPDCAサイクルの考え方が有効である。そのためにも全染色にコントロールを置くべきで、理想的には同じ標本上で染色すべきである。コントロール標本としては様々な組織を同時に染色可能なmulti-tissue control blockが有用で汎用性が高い。チェック時に染色結果の正しい解釈も必要であるが、意外と容易ではない。ましてやコントロールなしでは精度管理を行っているとはとても言える状況ではないことを理解すべきである。On-slide controlと内因性コントローの比較でかなりの原因推測が可能となる。本講演では実例を交えてその解釈にせまる。
 さらに近年の知見や新規抗体を紹介したい。ここ数年に登場した新規抗体や、新たな解釈など、特に有用なものを講演中に紹介する予定である。


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