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臨床検査技師のための切り出し業務
~当院の運用と後進育成について

山崎葉子

静岡県立総合病院 病理学部


 2019年に働き方改革関連法が施行され、2024年4月より執行される「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」に向け、様々な職種で医師以外へのタスク・シフト/シェアが始まっている。病理検査部門では、①細胞診の検査所見記載、②生検材料標本、特殊染色標本、免疫染色標本等の所見の報告書の作成、③病理診断における手術検体等の切り出し、④画像解析システムの操作、⑤病理解剖の5業務が現行制度下で実施可能な範囲とされた。
 当院では、2010年より手術検体等の切り出し業務を臨床検査技師が行っている。まず、切り出し業務を遂行する中で各臓器別の切り出しマニュアルの作成から取りかかり、病理医からは切り出し技術や肉眼所見の取り方など詳細な指導受けた。現在は、認定病理検査技師3名が病理医に代わり後進育成に努め、写真撮影や適切な切り出し厚、切り出し後の検体保管など病理検査に従事する臨床検査技師ならではのポイントを加えた切り出し技術の指導を担っている。また、固定から標本作製、標本提出までの全工程に臨床検査技師が関わることで検体品質の精度向上にもつながっている。
 病理医との適切な連携の下、臨床検査技師が切り出し業務を行うことは、疾患への理解が深まると共に、病理検査自体の精度向上、目的意識の共有をさらに強めることに繋がると考える。また、病理医は診断業務に専念でき、術中迅速組織検査の対応や他院標本診断、研究への時間も確保される。
 本講演では、当院の切り出し業務導入の準備・方法について紹介する。また、その運用方法や注意点、臨床検査技師目線の切り出しポイントについても自施設の例を基に紹介する。今後、病理医との密な連携を行い臨床検査技師が切り出し業務を行うメリットや課題、後進育成などについても議論したい。


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