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令和4年診療報酬改定新規収載項目 ―報告書管理体制加算等―

佐々木 毅

東京大学大学院医学系研究科


令和4年の診療報酬改定で、診療報酬では「入院料等加算」という項目に「A234-5 報告書管理体制加算」が新設された。患者への病理診断、画像診断の未伝達が後を絶たず、患者に不利益が発生していることに対応した診療報酬である。その点数告は「退院時1回につき7点(70円)」を算定するものである。注釈には「入院中に第4部画像診断又は第13部病理診断に掲げる診療料を算定した患者では退院時1回に限り、所定点数に加算する」とされている。さらに施設基準では「病理診断科を標榜していること」「病理診断管理加算1若しくは2の届出を行っていること」が求められている。また、報告書確認対策チームを組織することが求められており、その構成員としては「報告書確認管理者(医療安全対策に係る適切な研修を修了した専任の常勤臨床検査技師又はその他の常勤医療有資格者)」「専ら病理診断を行う医師」「医療安全管理部門の医師その他医療有資格者」などが挙げられている。さらに報告書確認管理者が行う業務としては、「作成から2週間後に未確認となっている報告書を把握し、医学的な対応が必要とされるものについては診療録等により確認し、未対応の場合は主治医等に電話連絡等により対応を促すこと」などが求められており、かなりハードルが高い。そのため、診療報酬請求が出来ている医療機関はまだかなり少ない。日本医療安全学会「画像・病理未伝達防止部会」でも「点数が低くシステム改修や人員補充ができない」や「外来での伝達漏れが多いのではないか?外来での請求が可能となればシステム改修相当額が得られるようになるのでは?」「医療安全対策に関する研修は。具体的には何をどのようにするのが効率的か?」などの議論が続けられている。これらの議論を紹介し、また現場で何が課題となっているかを一緒に考えたい。


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