■ プログラム

HOME > 例会抄録 > 第107回日本病理組織技術学会 > 固定時における検体取扱いの取り組み 3

固定時における検体取扱いの取り組み 3

渡邉俊宏

株式会社アムル 上尾中央臨床検査研究所


 当施設は登録衛生検査所(検査センター)であるため、依頼施設からホルマリン固定された検体を受託している。また、依頼施設からがん遺伝子検査の依頼は稀であるため、遺伝子検査は別の検査センターに再委託している。
このような業務範囲であると遺伝子検査との関係が薄いように見える。しかし、患者様が転院する際に、転院先の施設にFFPEを持参する機会が増加してきている。たとえ、遺伝子検査の実績が無い施設でも、間接的に関わりを持つことを認識しなければならない。
 核酸品質を考慮した運用のために、当施設で役立てていることを紹介する。
当施設は月曜から土曜まで、全て通常時間で稼働している。したがって、金曜に摘出した検体も、通常の対応をしている。業務上でとりわけ便宜を図る必要があるのは、大型連休である。特に癌の手術材料については、検体到着した当日中に病理医による切り出しを終えるようにしている。また、年末年始など大型連休の中にも稼働日を設けている。 ホルマリン固定時間への対応は、病理における固定や切り出し、その後包埋に至るまでの工程を再構成する必要があった。カセットに詰めた組織検体は、固定状況を見ながらホルマリンに浸漬する時間を必要最低限で終了させ、速やかに脱水工程に移行する事を優先することとした。また、ティシュープロセッサー Tissue Processor(以降TP)の稼働条件を平日と休日前で使い分け、平日はTPにホルマリンを用いないが、休日前にはTPにホルマリン固定の時間を設けている。
 今後は検体を採取する施設へ協力を求め、より良い検体の取り扱いを推奨していく計画である。


例会抄録一覧へ戻る