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固定時における検体取扱いの取り組み 2

松本祐弥

獨協医科大学埼玉医療センター


 遺伝子検査およびコンパニオン診断に使用する病理組織検体の多くは、6~48時間のホルマリン固定が推奨されている。そのため固定時間の不足や超過を防ぎ、プロセッシング(脱水・中間剤処理・パラフィン浸透)処理に移行し、良質なホルマリン固定パラフィン包埋ブロックを作製することが重要である。当院では、プロセッシング処理を行う密閉式自動固定包埋装置として、ライカマイクロシステムズ社のASP6025ティッシュプロセッサー(ASP6025)1台での運用を続けてきた。生検検体は原則採取された翌日に切り出しを行い、プロセッシング処理を開始するため推奨固定時間を守れていた。一方、手術検体は検体数の増加により、切り出された検体の全てを、推奨固定時間内にプロセッシング処理を開始することができず、一部の検体で固定時間の超過が発生していた。以前は、肺癌・大腸癌・乳癌などが遺伝子検査の主な対象であったため、これらを優先して処理していた。しかし、遺伝子パネル検査の保険適用以降、対象臓器や検査項目が増加した。そのため、全ての検体の固定時間を適切にすることが理想であり対策が必要であった。そこで、2022年より同社のHistoCore PEGASUS Plusティッシュプロセッサー(PEGASUS Plus)を新たに導入した。PEGASUS Plusは独立した2槽のレトルトにより、異なるプロセッシング処理のプログラムを同日に並行して実行できる。ASP6025とPEGASUS Plusの併用により、切り出された手術検体は、当日あるいは翌日にプロセッシング処理を開始できるようになり、固定時間の超過が改善された。また、連休前に採取された検体に対応するため、ホルマリン固定から開始し、自動でプロセッシング処理に移行するプログラムを設定している。この連休専用プログラムにより、連休前に採取された検体を推奨固定時間内で処理することが可能である。
 今回の発表では、当院の現状や今後の課題に加えて、より適切な固定を目的とした検体の取り扱いや、ホルマリンの運用方法、臨床科への働き掛けについても報告する。


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