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固定時における検体取扱いの取り組み 1

澁木康雄

国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院


近年の分子標的治療薬の発展に伴い個別化医療が進んできており、次世代シークエンサー(NGS)を用いた遺伝子パネル検査やバイオマーカー検査が重要な検査となってきている。これらの検査にはホルマリン固定パラフィン切片(FFPE)が主に検体として用いられる。そのため、一般社団法人日本病理学会からゲノム診療用病理組織検体取扱い規程が発刊され、がんゲノム診療に係わる多くの施設では、これに基づき10%中性緩衝ホルマリンの使用や過固定を防ぐ取り組みがなされていると思われる。当院においても過固定を防ぐため、土日祝日を当番制とし対応している。具体的には、休みの前日に提出された生検検体に関しては、翌日に当番の技師がカセット詰めなどの作業を行っている。また、手術検体に関しても3連休以上になる場合は、連休初日に切り出し作業を行うこととしている。しかしながら、NGSなどにおいて検査失敗となる例は存在する。原因のひとつとしては、固定前、既に核酸の断片化が起こってしまっていることも考慮されることから、手術時に切除された検体は直ちに病理検査室に提出してもらうよう依頼し、到着後は直ちに冷蔵庫に入れ、速やかに処理を行うようにしている。当然、手術室としては郭清リンパ節や追加切除された検体をまとめて提出するほうが楽であり、検体を摘出するたびに病理検査室へ搬送するのは、かなりの労力を要すると考えられることから、手術検体に限定して、検体搬送用の小型エレベーターの使用を認めている。この際、検体の紛失や放置を防ぐため、電子カルテシステム内に「病理標本管理一覧」というシステムを構築し、検体の提出と受け取りを管理している。これらの当院での取り組み等を紹介する。


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