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当院におけるホルマリン固定組織による遺伝子検査について

金子伸行

東京大学医学部附属病院


 2018年にゲノム診療用病理組織検体の取り扱い規定が策定され、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE検体の適切な作製・保管方法が具体的に示され、推奨される手順によって対応することが求められるようになりました。しかしながら東京大学医学部附属病院では2005年から病理組織診断の当日診断を行うための運用を行っておりましたので、取り扱い規程において検証されていない処理方法を多く含んだ手技で標本作製を行っていまいした。
 2017年に東大病院オリジナルのがんパネル検査である東大オンコパネル(TOP)が臨床研究として開始され、2018年からは先進医療として200例に対して実施され、先進医療が終了した2020年以降は自由診療として検査を継続しています。このTOPにおいて研究症例から2020年までで解析に使用されたFFPE検体は、約500件あまりとなっており、その品質評価の結果とゲノム診療用病理組織検体の取り扱い規定での検証結果と比較検討されました。症例には当日診断用の標本作製方法で作成された症例も含まれており検討がおこなわれました。これらの結果を参照し、当院においては現在でも手術摘出検体において20%緩衝ホルマリンでの固定を継続し、取り扱い規程において検証されていない処理による標本作製も一部継続して行うこととした経緯について解説します。
 運用での紹介として、当院でのゲノム診療用の病理組織検体の受け付けからの検査から報告までの流れと、標本作製時の注意としてコンタミネーションの対策について紹介します。
 最後にFoundationOne® CDx がんゲノムプロファイル検査とOncoGuideTM NCCオンコパネル システム検査での成績を提示し、当院でのゲノム診療用の病理組織検体の今後の課題について紹介します。


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