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膵臓の細胞診 ~EUS-FNAから~

草野広行

国際医療福祉大学成田病院 検査部病理


 膵癌は、高齢化社会の進行とともに増加傾向にあり、また、極めて予後不良でStageⅠでも5年生存率は50%以下である。その治療には早期発見が重要であり、検査にはCT検査、MRI検査などの画像検査に加えて、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP: Endoscopic retrograde cholangiopancreatography)や超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA: Endoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration)を用いた細胞診や組織診断が行われている。
 通常、膵臓の腫瘤病変を対象としたEUS-FNAを行う際には、細胞診(EUS-FNAC)と組織診(EUS-FNAB)を併用する。EUS-FNABで採取された検体は、セルブロック法でFFPEを作製することで免疫染色、遺伝子検査などの網羅的な診断が可能となる。加えて、細胞診(EUS-FNAC)を併用することで相補的な役割を果たすことができる。よって、適切な標本作製が診断成績の向上につながる。
 当院の標本作製方法は、検体の回収率の向上と組織検体と比較するために、組織構築との対比可能な液状化検体細胞診(BDシェアパス法)を用いている。具体的な方法は以下のとおりである。
①採取された検体はシャーレに取り出されて提出される。
②BDサイトリッチレッドで血液成分を溶血させて、有形成分と液状成分に分ける。
③有形成分をセルブロック法によりFFPEを作製する。
④液状成分をBDシェアパス法で液状化細胞診検体標本を作製する。
⑤パパニコロウ染色を行い鏡検する。
 本講演では、EUS-FNAを中心に膵検体の特徴をふまえつつ、標本作製方法を概説するとともに、各腫瘍病変に対する組織像と細胞像とを対比した診断精度についても述べる。


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