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膵臓の病理 マクロからミクロへ

小無田美菜

国際医療福祉大学成田病院・病理診断科


 膵臓は、胃の背側に位置する全長が約15㎝の黄色調の実質臓器で、外分泌腺と内分泌腺を有する事を特徴とする。
 膵臓に生じる腫瘍性病変として代表的なものに、膵管上皮から発生する浸潤性膵管癌、そして神経内分泌腫瘍がある。
 浸潤性膵管癌は、膵悪性腫瘍の約90%を占める高悪性度で予後不良な病変である。確定診断には、病理診断、細胞診診断が重要な位置を占める事から、超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)により採取された検体数は増加している。また膵癌は、現在日本国内におけるがんゲノム検査の第2位を占めている事から、がんゲノム検査のための標本作成依頼も増える事が予測される。
 神経内分泌腫瘍 (Neuroendocrine neoplasm)は、病理像およびKi67proliferative indexにより神経内分泌腫瘍 (Neuroendocrine tumour: NET)と神経内分泌癌(Neuroendocrine carcinoma: NEC)に分類される。NETの病理像は、充実性偽乳頭状腫瘍 (Solid pseudopapillary neoplasm: SPN) や腺房細胞癌 (Acinar cell carcinoma: ACC)との鑑別が問題になる事がある。
 本口演では、浸潤性膵管癌と神経内分泌腫瘍に着目し、臨床病理学的説明を行った後に、実際の症例を供覧しながら肉眼像(マクロ)から病理像(ミクロ)について述べる予定である。


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