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ヘマトキシリン後の分別によるエオジン劣化について

本田恭子

サクラファインテックジャパン株式会社


 ヘマトキシリン・エオジン染色は、細胞核をヘマトキシリンで青紫色に、細胞質や細胞間質、線維をエオジンで種々の濃さの桃色に染め分ける一般的な染色法である。そして、染色試薬の濃度や細胞への化学的親和性などが染色性に関与する。
 今回、分別が不要な進行性ヘマトキシリンを用いたHE染色に対して、分別が必要な退行性ヘマトキシリンを用いたHE染色では、エオジン液の劣化が早いことが確認されたので報告する。
 2021年7月に、「マイヤーのヘマトキシリン(分別無)」と「2倍カラッツィヘマトキシリン(分別有)」を用いたHE染色を同一期間に実施し、エオジンの染色性とエオジン液濃度を示す吸光度変化を観察したところ、染色開始2週目から「2倍カラッツィヘマトキシリン(分別有)」を用いたHE染色のエオジン液に、明らかな染色性低下を認めた。しかし、標本の染色性評価において、各HE染色に使用したエオジン液の劣化に差を認めたものの、異なるヘマトキシリンを使用した比較となったため、エオジンの染色性だけを評価することは困難であった。
 そのため、追加試験として、2022年2月に、分別工程が有るエオジン単染色(核染無)と分別工程が無いエオジン単染色(核染無)を同一期間に行った結果、エオジン液浸漬前の分別工程が、染色性と吸光度に影響を与えることを確認した。
 また、両試験では、エオジン液劣化の早さに違いがみられ、染色時に記録した試験環境を確認したところ、分別工程の有無だけでなく、染色時の環境湿度もエオジン液の染色性低下に大きく関与することがわかった。
 本発表では、試験結果の詳細と、分別によってエオジン液が劣化した原因について、考察を述べる。


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