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腎生検蛍光抗体法輸送液Michel`s Transport Mediumの紹介と運用

佐藤 孝之

慶應義塾大学


 当施設では,院内および関連施設の腎生検蛍光抗体法を行っている(2022年3月現在9施設).関連施設からは凍結未染標本が冷蔵輸送され検査を行っていたが,標本作製手技の施設間差,標本作製後の日時経過や輸送時温度変化,標本破損リスクなどの精度管理上の問題を抱えていた.
 また院内検体においても腎生検検体の検査室到着までの間に(検体採取後から運搬時),検体取り扱いにばらつきがあると考えられた.このような問題を解決するために,2016年10月より,腎生検蛍光抗体法輸送液として欧米で使用されているMichel`s Transport Mediumを導入した.この輸送液は1973年にMichelらが,皮膚生検蛍光抗体法輸送液として開発したものである.その後,腎生検蛍光抗体法においても輸送液としての有用性が検討され,現在では欧米において腎生検蛍光抗体法輸送液として日常的に使用されている.
 今回,輸送液の紹介と当施設での運用方法,導入後の業務改善を主体として,以前より当施設で用いられているWSI(Whole Slide Image)スキャナによる運用,輸送液浸漬後の検体応用を述べる.
 輸送液は,検体切り分け後,即座に浸漬をすることで免疫グロブリンや補体の抗原性保持を常温で5日間可能とする.凍結ブロック作製前には洗浄液による洗浄が必要である.当施設では精度管理上の観点より,関連施設には同じメーカーの輸送液を購入してもらい,洗浄液に関しては組成が開示されているため自家調整を行っている.


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