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病理検査における試薬の取り扱い

外山 志帆

順天堂大学医学部附属練馬病院


 病理検査において、標本作製工程で使用される試薬(化学物質)は作業者や環境に対する有害性を有しており、購入から廃棄に至るまで、様々な関連法規に基づいた取り扱いが必要となる。
 「作業者と環境に配慮した試薬管理」を行うためには、試薬購入時は価格や品質だけでなく、環境への負荷が出来るだけ少ない製品を選ぶことが大切である。保管にあたっては、試薬の性質を理解し、労働安全衛生法(安衛法)や毒物及び劇物取締法(毒劇法)等の法令に則った適正な管理が求められる。使用時には、必要最少量の試薬で済むよう工夫し、過剰な在庫を持たないようにすることで、廃棄物の発生抑制に繋がる。廃棄時には、有機廃液や無機廃液等、試薬の種類により適切な分別を行うことにより、廃棄液同士の混合によるリスクの低減やリサイクルに有用である。
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)は廃棄物の排出抑制と適正処分、生活環境の保全と公衆衛生の向上を目的とする法律である。廃棄物を発生させた事業者は、自らの責任において,適正に処理しなければならない。病理標本作製工程で使用される試薬にはしばしば毒劇物が含まれており、廃棄物(廃液)となった後でも有害性や危険性を有する。回収容器の材質においても廃棄物(廃液)の性質に合ったものを選ぶ必要があり、不適切なものでは容器の破損や漏洩のおそれが生じる。廃棄物(廃液)の処理にあたっては、可能な限り回収し、廃掃法だけでなく毒劇法等の基準に従い、適正に処理しなければならない。
 今回、「作業者と環境に配慮した試薬管理」を行うにあたっての試薬廃棄の実際や染色時の工夫について報告する。


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