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「オンコマイン Dx Target Test マルチ CDx システム」の検体提出のポイント

白濵秀也、渕岡美佐

株式会社エスアールエル 遺伝子・染色体解析部


 「オンコマイン Dx Target Test マルチ CDx システム」はコンパニオン診断システムとして、2019年6月1日に保険収載(11,700点: D004-2 悪性腫瘍組織検査 + D006-4 遺伝病学的検査 + N002 免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製)された。本検査は切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)の4遺伝子(EGFR遺伝子エクソン19欠失変異およびエクソン21 L858R変異、ALK融合遺伝子、ROS1融合遺伝子、BRAF 遺伝子V600E変異)を次世代シークエンシング(NGS)で解析し、8種類の分子標的薬(EGFR遺伝子変異:ゲフィチニブ、エルロチニブ塩酸塩、アファチニブマレイン酸塩、オシメルチニブメシル酸塩。 ALK融合遺伝子:クリゾチニブ、アレクチニブ塩酸塩。 ROS1融合遺伝子:クリゾチニブ。 BRAF遺伝子変異:ダブラフェニブメシル酸塩及びトラメチニブジメチルスルホキシド付加物の併用投与)における治療適応の判定の補助を行う。
 対象検体は、腫瘍細胞比率30%以上の未染標本スライド 5~10枚(5µm)で、腫瘍細胞比率が30%未満の場合は、偽陰性など判定結果に影響を及ぼす可能性が考えられるため、腫瘍細胞の集まり(30%以上)にマーキングが必要である。また、採取した組織は速やかに10%中性緩衝ホルマリン溶液に浸漬し、固定(固定時間は6~48時間程度を推奨)を行うことが条件となる。
 本検査の受託前に上記条件を各施設へ案内しているが、他の遺伝子検査より判定不能率、検査不能率が高く、施設間差が大きかった。判定不能率は核酸の品質、検査不能率は腫瘍細胞または抽出された核酸の量不足などが要因である。このことから判定不能、検査不能の検体を提出された施設へ、検体量および腫瘍細胞比率の増加、マーキングの徹底、、ブロック作製をヒアリングし改善を依頼した。現在の判定不能率、検査不能率は、開始時より9.1%改善された。患者さんの大切な検体をお預かりするにあたり、有効検査率を高めるための検体提出のポイントについて紹介する。


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