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細胞診と遺伝子検査

雨宮健司

山梨県立中央病院ゲノム解析センター/検査部ゲノム検査科


本邦においてAll Japan体制の元に2018年2月に厚生労働省より全国にがんゲノム中核拠点病院11施設およびその連携病院132施設が指定され、ハイスループットである次世代シーケンサー (Next Generation Sequencer) を用いたクリニカルシーケンスの臨床実装が開始された。そして2019年6月1日にがん遺伝子パネル検査が保険適応となり、今まで単一遺伝子のみを検査を行い、診断治療方針の決定を行っていたものを、がんに関連する多数の遺伝子の網羅的な解析 (がんゲノムパネル検査)を実施して、遺伝子変異を明らかにすることによって、一人一人の体質や病状に合わせて治療などを行っていく時代となった。
検査材料は一般的にFFPE (Formalin-Fixed Paraffin Embedded) 検体が使用されている。ホルマリンの種類や固定時間などプレアナリシス条件によりDNAの質が変化するためその検体精度管理がクリニカルシーケンスの成否に非常に重要である。
一方細胞診検体は一般的にアルコールで固定がされているためFFPEと比較してDNAへのダメージが少ないとされている。今までも特に非小細胞性肺癌においては細胞診検体は細胞形態による診断だけでなく薬剤選択において腫瘍細胞がもつ分子レベルの情報を迅速に提供することで臨床に寄与してきた。細胞診検体は検体採取における患者への侵襲性も少ないため、標準治療の終えた進行期のがん患者が対象であるがんゲノム医療においても多大に寄与できる可能性があるものと考えられる。
当院では2013年より、ゲノム解析センターを開設し、NGSで病理・細胞診検体やリキッドバイオプシー検体を用いたクリニカルシーケンスを積極的行ってきている。今回は特に細胞診検体を用いた当院での取り組みについてご紹介したい。


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