シンポジウム:糖鎖関連大型研究の現状と将来展望

オーガナイザー:門松健治、加藤晃一
シンポジスト:加藤晃一、深瀬浩一、秋吉一成、千葉靖典、門松健治
指定討論者:井ノ口仁一、木下聖子フローラ、安藤弘宗

要旨
 生命の真の理解と疾病の予防治療のために、第3の生命鎖である糖鎖の理解は不可欠である。しかしながら、糖鎖の構造的多様性と複雑性、機能的多様性は、一般の研究者の糖鎖研究への参入を躊躇させ、未だ制限の大きい解析法などは参入した研究者を困惑させる。一方で地球上に1兆トンを超えるセルロースに代表されるように糖鎖(多糖)の材料としての魅力は大きく、今日、液晶ディスプレイやドラッグデリバリーシステムなど様々な分野への応用が期待される。
 当然、糖鎖研究者が今後目指すべきは、学際的交わりと革新的解析・合成技術の開発であり、他分野研究者・若手研究者・学生を対象にした教育の充実であり、そしてデータベース・ワンストップ相談のような研究支援体制の構築であろう。殊に次世代を担う若手研究者の育成は基本的な最重要課題ともいえる。しかし、もちろん、これらを一気に達成する特効薬はない。
 これらを前進させるためには糖鎖分野あるいは学際的分野の大型研究費の獲得は重要である。戦略は主に2つあると思われる。一つは全国的な大型研究・教育グラントの獲得であり、もう一つは大学・研究所の単位で戦略的研究注力分野として糖鎖を設定することであろう。後者については米国やカナダなどの成功事例があり、前者も欧米で稼動している。
 本シンポジウムは、我が国の糖鎖研究のありかたについてこの分野の英知を集結して議論するものであり、主役は学会参加者のすべてである。話題を提供し、円滑にするためにシンポジストと指定討論者に参画いただく。シンポジスト5名はどのような視点で大型研究費獲得に至ったかを各々3分程度紹介する。その後、シンポジウムの大部分の時間を以下の項目について、すべての参加者で議論したい。

【予算獲得を含めた科学政策的な議論】

  1. 日本の科学研究における糖鎖研究の立ち位置(大型研究、国際的競争力、教室数、糖鎖の学術的魅力)
  2. 文科省・経産省・厚労省・AMED・JST・農水省・内閣府の科学政策
  3. どうすれば大型研究費を獲得(あるいは設計)できるか

【研究についての議論】

  1. 基盤研究技術の開発の現状と未来 自動シークエンサーは?自動合成機は?次世代アレイは?
  2. 応用研究(医療、食品、材料)の現状と未来
  3. 20年後の糖鎖研究・科学

【学際研究、国際協力、キャリアパスについての議論】

  1. 学際研究(異分野共同研究)のあり方、AIとの取り組み
  2. 国際的協調のあり方
  3. 若手糖鎖研究者のキャリアパス

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